3年前のことです。右も左もわからず入社をして約1年。体育会系の会社で、朝から晩まで上司先輩と顔を合わせては、小言を言われたり、怒鳴られたり。息が詰まりそうな毎日でした。仕事では、結果を求められるとともに、一言話せば「話し方がだめだ!」歩けば、「足音がうるさい!」など、ピシャリと注意が入ります。それがそういう風に言われると、なんで私ばっかり、とか、なんでこんなことで注意されなければいけないの?と、反抗したくなります。結局、自己憐憫にさいなまれ、何もかも投げ出したくなってしまっていました。毎日毎日が同じ日の繰り返しで、このまま一生過ごすのかなと思ってしまいました。まるで牢獄にでも入れられたような気分になり、何もかも投げ出したくなっていました。しかも、当時お付き合いしていた彼ともすれ違い。上手くいかず、私の人生何なんだろうと鬱々としていました。
気づいたら精神的にストレスがたまっていたのでしょう。毎日のシャンプーの時に、髪がごっそり抜けるようになってしまったのです!昔は、毛量が多いねと、美容師さんからも言われていた、この私が!!これはショックでした。一か月たったら、私は坊主になってしまうのではないか!!と思う程。
ある時、もうやりきれない!と思って、家に帰ってからイライラが爆発。カバンをそのまま、床に投げつけてしまったのです。こういうときってありますか?友人に聞くと、イライラした時に鏡を割ったらすっきりした(笑)というエピソードもあったのですが、私はどうも合わなかったです。投げつけた数秒後、「やってしまった、、」と後悔に苛まれます。あ~あと思いながらカバンの中身を見ると、とても大切にしていた箱がぐちゃぐちゃになっていました。角はつぶれ、つぶれたところから裂けてしまい、中身も飛び出してしまい、使用不可能になってしまいました。物に当たるのは、その時はすっきりするのですが、あとからの罪悪感というか、後悔、そして壊れてしまったショックが大きいのですね。これは、もう二度とやってはならない、と心に決めました。余計、ストレスがかかってしまったと思いながら、まだモヤモヤは続きます。
そんなとき、「発声をすることによりストレスを発散することができる!」ということを耳にして、ピーンときました。そういえば、私は歌うのも好きだし、大声で「ヤッホー!!」と叫んだときに、ものすごい爽快感を感じたことを思い出しました。これはいいぞ!!
ちょうど車で外出をする機会があったので、好きな音楽を流しながら、一人カラオケをスタート。好きな曲メドレーで、2時間のドライブを歌いまくったら、何か頭を覆っていたもやもやがすっきりして、ぱかっと何かが開いた感じ。キューっと心臓が苦しかったのも、胸が開いて楽になったような気がしました。
車での外出は、そんなにめったにないので、普段でも何かできないものかと思い、試行錯誤していました。お風呂で歌ってみたり、料理をしながら歌ってみたり。しかし、マンションなので、やっぱり大声では歌えません!ただでさえ、隣近所の方の声が小さく聞こえてくるので、歌を歌うなんて、やっぱりできません。
また、モヤモヤが募ってきます。貴重な休みの日。大学生たちが楽しそうに街を歩いているのを見ては、自分の過去をなつかしんだり、美男美女の社会人カップルが楽しそうに歩いているのをみては、人をうらやんだりしながら、プラプラ街を歩いていました。そこで目に飛び込んできた、カラオケ店のネオン。カラオケって、何人かで行って皆で騒ぐ印象で、自分ひとりで行く発想はあまりありませんでした。しかし、最近は一人カラオケの女性も増えていると、聞いたことがあるのを思い出しました。あ、、、。行ってみたいかも、と思っていたら、ヴァイオリンケースを背負った女性が店から出てくるのを見かけました。「そうか、一人で行くのもありなんだな。楽器の練習をする人も来るのなら、私も一人で行きやすいかも。」と思うと、自然に足が店に向かいました。気づいたら店の目の前にいて、自動ドアが開いていました。お店の人から、「いらっしゃいませ」と声をかけられてしまうと、後ろには戻れませんでした。レジに行き、ワンドリンク制だったのでホットコーヒーを頼み、とりあえず、一時間で、と伝えました。一時間もいないかもしれないと思いながら、部屋番号を案内されました。
久々のカラオケにドキドキしながら、ええと、まずは何をするのだっけ。マイクを手元に置き、予約のリモコンを取り、ぱちぱち打ってみました。何を歌おうか迷いながら、履歴を見てみると、私の好きな曲や、懐かしの曲がたくさん入っていて、驚きました。とりあえずその時は、彼とのことでモヤモヤしていて、行先真っ暗と思っていたので、失恋ソングを何曲か入れてみました。PVも流れて、しんみり心にしみわたってきます。PVを見ながら、泣きながら歌ってしまいました。4曲くらい思いっきり歌うと、さっきまでの“シクシク”した気持ちがうそのように晴れました。その後も履歴を見てみると、もっとポップな曲が目に入り、どんどん歌いながら予約をしました。気づいたら15曲くらいになっていたかしら。だんだん、曲のボリュームも大きくして、超大声で熱唱!すっきり~~~!!!すごく楽しくて、これは一時間では足りないと思い、延長して結局2時間半。ちょっと恥ずかしいけど、歌って踊って勝手に動きまくっていたら、ものすごく発散されました。すれ違っていた彼のことも、「くっそ~!」と思いながら歌っていたら気にならなくなりました。笑。お互いの人生なんだから、すれ違いも当然か!と悟っちゃいました。また、仕事のもやもやも吹っ飛びました。元々、好きで入った会社です。もういっちょ、頑張ってみよう!と前向きな気持ちになってしまいました!
帰り道は心も体も軽やか!翌日からは、自分でも驚くほど前向きに仕事に向かえました。キューっとなっていた心臓も楽になり、彼とのすれ違いも、どうでもいいやと思え、仕事への活力もわいてきました。仕事への活力が自らわいてくると、他人(上司も含め)のことなんて、上手く人間関係を取っておけばいいのかな!?といい意味で開き直ることができました。そうすると、怒られないように、うま~く行動したりすることができるようになり、そこからイチイチ怒られることがなくなりました。そうすると、仕事の本懐に向かっていけるような気がします。実際に、仕事の成績が上がり、むしろ上司に褒められるようになりました。
鬱々と、自分の殻にこもって過ごしていた毎日。こうすると、なんだか自分の中で腐ってしまうのだと気づきました。私は、声を外に出すことで、何かが循環してくることを実感し、ある意味病みつきになりました。
そこから、ちょっとストレスを感じて鬱々としてきたら、車で外出の時は必ず車内はカラオケルームになります。車に乗る機会がないときは、週末に思い切ってカラオケに行って、時々お酒も飲みながら、時には3時間くらい歌って発散するようにしています。終わったあとの爽快感と、明日からの活力がわいてくる感覚。歌うことでこんな感覚になるなんて、自分でも知らなかったです。好きなことって、人それぞれあるのですね。
思い切り歌って発散することで、仕事も循環し、彼とも良い距離感でお付き合いすることができていて、私の一番のストレス発散です。