はじめまして。23歳のmokiと申します。2か月前まで看護師として働いており、現在は看護師から離れ別の仕事としています。
今回は私自身の経験も踏まえ、看護師として働くみなさんに、精神疾患がいかに身近なものであるのかを、お伝えしていきたいと思います。
・どのように考えていますか?
みなさんは、うつ病などの精神疾患に対し、どのような印象がありますか?
「自分は大丈夫」そう思っている人も多いのではないでしょうか。しかし、決してそんな
ことはないのです。うつ病は誰でもなる恐れのある病気です。
実際、近年うつ病にかかる人は増加傾向にあります。では、うつ病にならないためには、
どのようにしたら良いのか、今回は看護師の皆さんに向け、書いていきたいと思います。
・知っていますか?
うつ病は、気分が強く落ち込み憂うつになる、やる気が出ないなどの精神的症状のほかに、
眠れない、疲れやすい、体がだるいといった身体的な症状が現れることのある病気です。
現在、うつ病患者は全国に100万人以上おり、およそ7割が女性なのです。女性に多い
とされる原因には、月経周期や妊娠、出産、閉経などでホルモンバランスが急激に変化し、
心身にストレスがかかるためと考えられています。
うつ病患者の7割が女性とされるなか、女性が多い看護師という職業はうつ病になりや
すいのでしょうか。みなさんはどう思われますか?
・実は多い医療従事者が訴えるメンタルの不調
ある調査によると、医療業は、業種別にみた長期病気休暇の請求件数が第2位となって
いることが分かっています。
細かい職種別の請求件数でも「保健師、助産師、看護師」は第9位と、上位に位置しているのです。
・看護師の長期病気休暇の3分の1はメンタルの不調
実際に、日本看護協会の調査によると、病気で長期休暇をとっている看護師の3分の1は「うつ病」や「精神疾患」などのメンタルの不調が、休みの理由となっているそうです。
・メンタルの不調を引き起こすもの
・精神的負担
医療の現場では1つのミスが、患者の命を奪ってしまうことさえあります。ミスが許されない中、常に気が張り、過剰に神経をつかうことも多いことでしょう。また、患者と真剣に向き合い、一生懸命に看護したとしても、必ずしも患者が回復されるとは限りません。人の死に直面することも多く、精神的な負担は大きいと私は考えています。
・身体的負担
精神的な負担だけでなく、体力の面でも、負担は大きいですよね。看護師をしていると、勤務形態はさまざまだと思います。日勤専従の看護師さんもいらっしゃるかもしれませんが、多くの看護師さんは、2交代もしくは3交代という勤務形態なのではないでしょうか。
夜勤や当直があると、どうしても不規則な生活になりがちです。夜勤前、十分に寝ることができず、睡眠不足のまま仕事に行ったという経験がある方も多いのではないでしょうか。睡眠不足のまま、看護業務を行うことは、体力的にもいつも以上に負担が増しますよね。
また、睡眠不足にならないためにも「寝ないといけない」と思って、無理やり寝ようとベッドに入り、目をつぶった経験はありませんか?しかし、この「寝ないといけない」という気持ちが、精神疾患につながることもあるようなのです。「寝ないといけない」という強迫観念が強くなると、逆に気持ちが不安定になり、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなるということがあるみたいです。結果、不眠症や睡眠障害へとつながってしまうことがあるようです。
このように精神的負担や体力的な負担が強く、うつ病や精神疾患にかかってしまう看護師も少なくないのが現状です。
・あなたはどんな性格ですか?
また、うつ病になりやすい性格として「几帳面でまじめ、責任感の強い人、自分に厳しい、周囲に気をつかいやすい」というのが、よくあげられています。私も看護師として働いていましたが、周りの看護師の方も、このような性格の方が多かったように思います。
・体験談
ここまで、看護師のメンタルの不調についてお伝えしてきましたが、実は私も精神疾患にかかり、休職したのち、結果的に退職をしたという経験があります。
ここからは、少し私の話をさせて頂きます。
冒頭で私が以前看護師として働いていたと書きましたが、ここでもう少し詳しくお話しします。私は地元の大きな病院で働いていました。新卒で就職し、配属された場所は手術室でした。そこで、手術室看護師として約1年半勤めました。
私が異変に気付いたのは、1年目の終わり頃でした。どんなに早く寝て、睡眠時間を確保したとしても、まったく疲れが取れませんでした。朝、仕事に行くときも体がとても重く、体を引きずるようにして出勤していました。
もともと私は、手術室を希望していたわけではありません。しかし、配属になったからには、誰よりも上手く器械出しができるようになろう、そう思い毎日頑張っていました。結果、周りの同期よりも早く、様々な手術につくようになりました。先輩からも「仕事が出来るね」とほめてもらえることも多く、順調に進んでいると、当時の私は思っていました。
しかし「あなたは大丈夫だから」「あなたは出来るから」と言われ続けたことで、徐々にプレッシャーを感じるようになりました。出来る自分でいないといけない、周りの期待に応えないといけない、そう思うようになりました。同時に、先生や先輩からできないと思われることが怖くなってしまいました。
周囲の人の評価を気にしてしまい、常に周りの人が自分のことを、どのように思っているのか気にするようになりました。私が働いていた部署は、もともと人間関係が良かったわけではなく、常に裏では悪口の言い合いが繰り広げられていました。そのこともあり、私も言われているのではないか、いつも以上に気にするようになりました。
毎日仕事場で先輩の顔色をうかがい、常に笑顔でいること心がけていました。そんな日々を送っていたころ、体の不調がでてきたのです。疲れが取れない、朝体が重くなかなか動けない、そんな日が続きました。
次第に、仕事に行くことに恐怖を覚えるようになりました。仕事が上手くできなかった、先輩から「バカ」だと言われたなどの、1つ1つの出来事に深く傷つき、仕事から泣きながら帰ることが増えました。家に帰ってからも、少しのことでイライラしたかと思えば、涙がでてきたり、自分でも気づくほどに情緒不安定になっていました。
仕事場では、こんな精神状態であることを誰にも相談できず、今まで通りの自分を演じていました。しかし、少しずつ仕事が上手くいかないことが増え、「最近やる気がない」「頑張っていたのは最初だけって思われないように」と言われ、ますます追い詰められてしまったのです。
・仕事に行けなくなりました
そしてついに、仕事に行けなくなってしまいました。仕事に行けなくなったのは突然でした。あの日は、いつも以上に仕事に行くのが怖かったのを覚えています。朝、病院に向かっている間、何度も家に引き返そうかと迷いました。しかし、迷っている間にも病院についてしまい、ユニフォームに着替え、師長さんのところに挨拶に向かいました。その途中、急に涙があふれて、とまらなくなりました。もう自分を自分で制御できなくなってしまっていたのです。
今まで、自分の異変には気づいていたものの、別に病気というほどではない、そう思っていました。よく聞く、急に仕事に行けなくなったなんて、他人事だと思っていたのです。しかし、あの日涙があふれた瞬間初めて、「ほんとに無理だ」そう思いました。
その日は、師長さんに事情を伝えそのまま家に帰り、メンタルクリニックを受診しました。私の場合は、うつ病ではなく、適応障害という診断でした。私が突然休職したことに、驚いている人は多く、「いつも笑っていたから気づかなかった」と言っていたと、同期から聞きました。
・今思うこと
私はもともと、どちらというと真面目な性格で、周りの目を気にすることが多かったです。今思えば、辛いと感じた時に誰かに相談できていたら、「今精神的につらいです」と意思表示できていたら、もっと違っていたのかもしれません。正直、少し後悔しています。
退職してからは家族や恋人の支えもあり、自分のやりたいことを見つけ、充実した日々を送っています。でも、今は無理をしすぎないように気を付けています。
私は自分自身も経験したからこそ、うつ病や精神疾患は決して他人事ではないと言えます。看護師という職業柄、責任感が強い人も多いと思います。また、患者さんや多職種と関わる中で、気をつかう場面も多いのではないですか?
仕事のことを1人で悩んでいる人はいませんか?誰にも相談できず悩み続けていると、精神疾患であると気づかぬうちに、症状が悪化してしまうことも少なくありません。
・大切なのは仕事から離れる時間
仕事をしていく中で、ストレスがまったくないという状態を作ることは、難しいことだと思います。そこで大切になってくるのが、自分なりのストレス解消法を見つけておくことです。運動をしたり、買い物に行くなど、些細なことでも構いません。少しでも、仕事から離れて過ごせる時間を確保することが大切だと思います。
また、悩み事を相談できる相手を見つけることも、大切だと私は思います。仕事場でも、誰か1人でも本音を話せる先輩がいれば、気持ちを過剰にため込みすぎることがないのではないでしょうか。自分の気持ちを伝えることは、怖さもあります。私もそうでした。しかし、勇気を出して相談してみるもの、悩みを解決する一つの方法であると私は思います。
そして、頑張りすぎない、というのも大切です。完璧に仕事をこなそうとすると、どうしても無理が生じてしまいます。「完璧じゃないといけない。もっと頑張らないといけない。」という思い込みは、さらに自分を追い詰めてしまうことになります。
・最後に
看護師として日々頑張っているみなさん。毎日仕事に行き、患者と向き合っている。それだけで十分頑張っていると私は思います。確かに、頑張らないといけない場面はたくさんあると思います。ですが、頑張るのと無理をしすぎることは違います。たまには「よく頑張っているよ。」と自分で自分をほめてあげてください。
もし、どうしても仕事に行くのがつらくなった時は、休むことも一度考えてみてください。休むことは決して悪いことではありません。あなたが看護師を辞めてしまったほうが、困る人はたくさんいると思います。
無理をしすぎず、自分を自分でしっかりほめてあげてください。
自分の体調を自分が一番心配してあげてください。
看護師として毎日一生懸命働かれているあなたを応援しています。