都内在住、40代、男、robinです。
いつもホワイト企業を狙って転職活動をしてるのに入ってみたらいつもブラック。robinです。
これまで転職で「休日の日曜日1日休んだだけで上司から長文の罵倒メールが流れてくる会社」や、「派閥争いが激しすぎて自分の所属する派閥が劣勢になると簡単に海外に飛ばされたりするような会社」など、本当世の中にはいろんなタイプのブラック会社があるんだなあと思い知しましたが、退社後何年立っても忘れられないのが20代半ば30から代後半まで10年以上にわたり勤め上げたあの会社、、、「成り上がりワンマン社長の罵声が鳴り止まない、どストレートなブラック会社」です。会社を辞めたいと思ったことは数え切れません。
ブラック会社への風当たりが強まり「隠れブラック」が主流になりつつある今では少数派とも言える王道のブラック路線。今では一発レッドカードのブラックさですが、当時も十分に一発レッドカードの傑物でした。
今日は久しぶりにその会社のことを話してみようと思います。
【よく言えばダイバーシティ】職種とか部門とか役職とかいう概念がない
やれ「上司が意見を聞き入れてくれない」だの「他部署の人間が非協力的で自分の部署が大変だ」だのと組織間の軋轢で気を揉んでいる人はいませんか?そんなあなたに朗報です「成り上がりワンマン社長の罵声が鳴り止まない、どストレートなブラック会社」にいらっしゃい、すごくシンプルですよ!
私が勤務していた「成り上がりワンマン社長の罵声が鳴り止まない、どストレートなブラック会社」は社長以外は全て平社員。若干扱いに差はありましたがせいぜい「ボスと子分」か「ボスと奴隷」みたいな関係です。わかりやすいでしょ?
しかもコミュニケーションを阻害する「部署」という概念がそもそもありませんでした。理由は簡単、一般的な会社であれば3~4職種に分けないといけないような業務を1人が担当しなければならないからです。
国の方針で「被雇用者には絶対所属部署必要!」となったとしたら「全部やる部」とかつけるしかないでしょうね。
私が一番業務掛け持ちの多かった年には計5職種(営業・企画・デザイン・受発注・仕入)の業務を掛け持ちしていました。
誤解してもらっちゃ困るんですが今日は営業、明日は企画ていう話じゃないですよ。
始発の電車で家を出て朝の朝礼前までデザインの仕事をして、朝礼終わってすぐに営業に出発、ランチもろくに取れないまま夕方に会社に戻ってきて営業報告書を書きながら仕入れの発注書を流して、21時頃から終電まで受発注・・・なんて日もありました。
「残業代?」もちろんそんな素敵なシステムなかったです。そのシステムを始めて私に適用されたの40歳を過ぎた頃、まだ先の話になります。ちなみにこの会社の労働制度は悪人に運用させてはいけない悪魔のシステム「裁量労働制」でした。
【リアルカイジかよ】常に死を背後に背負わして覚醒を促す鬼軍曹
この会社の社長の凄いところはデッドラインを恐れない攻めのスケジュール管理をするところです。
デッドラインってわかりますか?会社として落とせない最終ラインのこと。
例えばクリスマスケーキの生産を受注している場合12月24日に納品できなければゴミになってしまうという最終ラインのことです。
「デッド=死」なわけですから一般的な会社であれば様々な保険をかけるわけです。前述のケーキの場合だと納期の前日には完成するような余裕あるスケジュールを組むとか、不良品発生に備えて5%の予備を作成しておくとか様々です。
ですが極端にポジティブ思考のワンマン社長は「全てがうまくハマったら何とかクリアできる」というスケジュールで常にデッドラインを設けるという斬新な手法で会社を回していました。
「今のお前じゃ絶対にクリアできないけど、スーパーサイヤ人に覚醒したらクリアできるぜ」みたいな激アツのスケジュールです。
このデッドラインを背中に感じながらこなす毎日の感覚は独特です。ビジネスというよりは戦争、戦争というよりは「死のゲーム。」
あの人気漫画「カイジ」で一番有名な「鉄骨渡り」のシーンが一番感覚的に近い気がしますね。
「365日毎日コイントスをしていて1回でも裏が出たら死亡」というようなリスクばかりが馬鹿高いゲームの参加者的感覚です。
しかも不思議なことにゲーム参加中はアドレナリン出まくりで全然寝なくても眠くならないんですよ。ま、そんなこと自慢してる場合じゃないんですけどね。その頃の自分に言ってあげたい「早く逃げろ!」
【言葉はいいよう使いよう】「仕事をコントロールして定時で帰るのが一流のビジネスマン」
始業時間9時なのに何故かいつも8時30分から始まって、更にその5分前に会社に到着していないと気絶するくらいの罵声を浴びせられる毎日の朝礼の社長の定番文句が以下です。
「最近みんな残業多いんじゃないか?仕事をコントロールしてちゃんと定時で帰ってビジネスとプライベートのメリハリをつけるのが本当に「できるビジネスマン」だぞ」
このありがたいお言葉を死んだ目の社員たちがなんの感情も揺さぶられないまま聞き流しているのが毎日の恒例になっていました。
「社長いいこと言っているじゃないか」「無能なのは社員の方では??」確かにそういう指摘も多々あるでしょう。でもね、それは改善によってクリアできるかもしれないゴールがそこに見えているから、工夫すべき手段が残される(許可されている)から言えるんだってことをブラック会社で勤めたこともない恵まれた環境の人たちがあーだこーだ言ってるようにしか思えないんですよね。
例えばですけど昼過ぎに社長に呼ばれて「すまん!17時から急遽大阪で重要な商談があるから言ってきてくれ」と言われるとします。当日のギリギリにこんな無茶な指示はあったもんじゃありませんがこれは「ホワイト」。
だって「電車の時間は、いやその場所なら飛行機が早いか」「資料揃ってないけど移動中に作ってしまってコンビニで出力すれば・・」「会議の時間が読めないな一応ホテル押さえておくか」などなど努力次第で越えられるものばかりですから。
この状況をブラック企業に置き換えると「おい17時から急遽ロンドンで重要な商談があるから言ってきてくれ。ただし交通費は2000円までな。あと相手はエジプト人だから資料に翻訳つけとけ、1分でも遅れたら殺す」くらいの感じです。
「17時までにロンドン無理だろ」「2000円じゃ空港までしかいけねーぞ」「エジプト人って何語だよ?」「このままじゃ殺される」としか思いつかないじゃないですか、こんなの!
こう言った次元の仕事ばかり振られると多くの社員は完全に腐り始めて「ロンドンまで船をヒッチハイクしたんですが海賊に襲われました」と嘘ばかり上達していく人とか、社長怖さで自腹で飛行機チャーターするなど無茶をしたせいで家族に亀裂が入り離婚危機に瀕してしまう人などで溢れ、会社のブラック度はどんどん加速して行くんですよね。
【ヤ◯ザより怖い】1ヶ月で白髪になる人と気絶して椅子から転がる人初めて目撃
そもそもこんな理不尽な状況をなぜ社員全員が受け入れて働いているかというとシンプルに社長がクソ恐ろしいからです。ネチネチと精神的に追い詰めてくるとか、突然逆上するとかそういうレベルじゃありません。いつもいつでも1日の90%くらいの時間自分のもてるトップスピードで誰かを怒鳴り散らしているのです。
自分が社内にいる間は、たとえ自分が直接怒られていない時間も誰かをただひたすら罵倒する声がバックミュージックで聞こえている環境なので、なんのミスも冒していない人ですら頭がおかしくなり恐怖感に支配されていくのです
そんな恐ろしい罵声ってどんなのかっていうと、これがなかなかリアルな恐ろしさを伝えにくいんですよね。
たとえば「お前そんな状況でのこのこ帰ってきとんのか!」「どうやって責任とんねん!話つけるまで帰ってくんな!」っていう感じなのですが、言葉にしてしまうと一般的な怖い上司にしか聞こえないのが残念です。絶対ライブできいてほしいわ~(バンドかよ)
伝わらないと悔しいので、わかりやすいようにその時怒られていた人の反応を紹介します。
「怒られている最中に気絶して椅子からずり落ちる」「突然過呼吸と痙攣を起こしておかしくなる」「髪が真っ黒だった50代の男性社員がたった1ヶ月で白髪に染まってしまう」これが何の水増しもしていない現実だということで少し理解してもらえるんじゃないでしょうか?
【気がつけば自分も片棒担いでいる】外側の人間から見れば全員が悪魔
はい、うんと飛躍しますが、恐怖で相手を服従させ反抗する気持ちすら失わせるといえばやっぱり「DV」ですよね。
本当にこの会社、社長がこのDVの思考回路を勉強してうまくビジネスに利用したんじゃないかって思ってしまうほどDVをビジネスに落とし込んだ革新的なビジネスモデルで業務を回していました。
集団に同時に聞こえるように大声で罵倒を繰り返し恐怖を植え付け逆らえないようにします、逆らえなくなった社員は夫(社長)の無理難題にも「やらなきゃ殴られる」という恐怖心だけで地腹をきってでも達成しようと動き回ります、そして夫の命令があれば我が子に手をかけることすらやってしまうのです・・・
いや流石に本当の子供に手はかけませんよ(安心してください)、ただそれまで自分を信用して付き合ってくれていた取引先に対して平気で無茶苦茶な理論で責任を取らせたり、相手からのクレームも難癖つけて倍返しで相手を泣かせたりすることができたりするようになるんです。
DV被害を受けたことがないので想像にはなりますがDVで我が子に暴力を振るう(もしくは見て見ぬ振りをする)親の心境がちょっとだけですがわかるような気がします。そこにあるのはきっと「恐怖」なんですね。殴りながらも恐怖に震えている。
ああー鳥肌立ってきた本当あの環境から抜け出せてよかった。
【完全にDVのそれ】ちょっと普通の会社じゃないご褒美が支給されちゃう
最後、ここがこのブラック企業がDVビジネスモデルの最先端じゃないかと思う最大のポイントなのですが、瞬発力のあるご褒美が支給されるという部分なんです。
今はどうか知りませんが私が所属していた時代は年に1度社員の家族全員無償で参加OKの海外旅行を行なっていました。家族全員の交通費と現地でのお小遣い数万円を会社が負担してハワイやグアムに旅行に行くんです。
社長方針で現地は基本自由行動。
ただただ家族と楽しい時間が過ごせるという最高のご褒美が用意されているのですそれまでの1年間「来年こそやめる」「絶対無理」と思っている社員もこのどんな一流企業でもなかなかないような報酬で「もう1年やってみるか」となるし、この1年配偶者の瀕死の姿を見て「このままだと死んじゃう、やめさせる!」と息を巻いていた身内も「もう1年頑張って見ない?」と揺らいでしまう状況がここにあるのです
【むしろ拍手を送りたい】それでも変わらないブラック気質
その会社を辞めるにあたり、まあとんでもない事件が起きて色々と貴重な体験をさせていただいたのですがその詳しい話はまた別の機会に。とにかくそのとんでもない事件により会社の1番の繁忙期に社員の半数以上が一斉退社するといういわゆる「クーデター」が発生し会社は相当な被害を受けたと思われます。なんせ社員全員が1つでもミスを侵したら大事故になる案件を抱えていたのにそのうち半数以上が抜けるのですからその被害はうかがい知れるでしょう。実際残留組の中で懇意にしている社員から聞いた話では、「多数の得意先に致命的な被害を与えてしまい取引停止」「取引継続先にも多額の賠償金を支払った上での継続」などなど。いまの吉本興業の話じゃありませんが、会社が変わらなくちゃいけない大きな転機になると誰もが思った事件だったのです。
が、、しかし退職か5年がすぎた頃、久しぶりに昔の会社の状況が気になって転職情報サイトなどを調べて見たところ出るわ出るわ「社長の恫喝が日常」「完全にブラックです」「罪のない社員が怒られていても上司は見て見ぬ振り」などなど、あんなに衝撃的なダメージを受けて一度は倒産の危機に瀕した会社が今もなお1mmも変わらぬスタンスでビジネスを続けている姿に感動すら覚えました。
「人って変わらないんだな・・・」転じて「ブラック会社って変わらないんだ・・・」これが今回の総まとめで
す。
【最後にrobinからひと言】
いかがだったでしょうか? robinが一番心に残っているブラック会社の話でした。
それ以降もいろんなタイプのブラック企業に所属してきましたが、この会社は野球で言うならメジャーリーグ、サッカーならリーガエスパニョーラのようなブラック会社の花形でした。
退職してしばらくたって思うことは意外にも「どうせブラックならこれぐらい堂々としたブラックの方が清々しいよな!」ってことです。
表面ヅラだけホワイト企業で内側ブラックの会社は退職後も「もっと動き方があったんじゃないか」「自分にも落ち度があったんじゃないか」などと自分を責めることも残ったり鬱が長引いたりするんですが、この会社に関してはそんな風に思ったことは一瞬もないですからね。
今や脱出したときの快感だけが記憶に残っているだけです。
「もう一回あの快感を味わいたいなあ・・」なんてことだけは絶対にないですけどね! あー会社辞めたい。それでは。