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運営者robinの記事

【事実は小説より奇なり】 マジで会社が崩壊するときの俺たちの一部始終 ~前編「決壊編」~

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」というノリでブラック会社経験時代の話を少し面白おかしく紹介することの多いrobinですが、正直笑い話にしようがない話がひとつあるんですよね。もう「どう手を加えてもシリアスな話にしかならない」マジなやつです。

この話は私が10年以上在社したブラック会社(某食品メーカー)を退職するきっかけとなった事件の話なのですが、一夜のうちに会社が音を立てて崩れていく、その現場に立ち会った現実の話になります。

テレビやネットで雪崩や津波の映像でその悲惨な光景を目にしたことがある人は多いと思いますが、当事者としてそこにいた経験を持つ人は少ないのと同様に、本当に会社が崩れていく瞬間に立ち会った経験のある人は少ないんじゃないでしょうか?

今回の記事は当事者として体験した会社の崩壊のちょっとシリアスに紹介していきたいと思います。

1月某日 23:00

いつも通り社員は全員残って仕事を続けている。

年末年始にかけて出荷ののピークを迎えるのは例年のことだととわかっていたものの、毎年社員にギリギリ以上の負荷をかけ、クリアしちゃうと「まだいけるやんけ♫」と更に倍の負荷をかけてくる社長の強引な押込みは、とうに社員の限界を超えてしまっていた。

社員全員が期日までに処理が終わらないことがわかっている現状の中、失敗の程度をいかに抑えられるかだけのために、いつ終わるともない業務を続けている。

1月某日 23:30

「このままでは一番関係の深い得意先に大きな迷惑をかけてしまう!」
「ここまで悪化した状況は自分たちだけでは解決することができない!」

各セクションから聞こえてくる悲鳴に、これまで社長怖さで無抵抗を貫いていた古株社員が、社長への直訴に踏み切ることを決意。
「現在の状況を得意先に早く伝え納期を遅らせてもらえるように交渉させてほしい」旨を伝えるため電話で連絡する。

初めてとも言える社長への直談判。電話をかける古株社員の周りで固唾を飲んで状況を見守る数人の社員。
電話口から漏れてくる社長の声。何を言っているのかまでは聞き取れないが、激しい罵声であることだけは理解できた。

電話を置いてため息をつく古株社員。社長の返答は「NO!」だった。
「自分たちが招いた種だ。死んでもいいからなんとか処理しろ」「そんなしょうもないこと俺に相談してくるな!お前の仕事だ」という言葉と、その他、人格を否定するいくつもの言葉を投げかけられたらしい。

「それだけっすか・・・」周囲の社員含めて絶望のあまりその場に座り込む。

1月某日 23:50

「もう無理だ!もうダメだぁぁぁぁぁ!!!!!」突然入社2年目の社員が大声をあげて走り出し、小部屋にこもってしまう。

同期の若手社員3名が後を追いかけ、鍵がかけられたドアを激しく叩きながら「どうした!!?だいじょうか!?とにかくここを開けて!!」と呼びかけ続ける。

何かが完全に決壊したものを全員が感じていた。絶望感の溢れる社内で誰も仕事に戻れないままの時間だけが過ぎてゆく。

1月某日 24:10

発狂した社員を説得していたうちの1人、彼の同期で社内のムードメーカー的な存在。いつもおちゃらけた事ばかり言っているFが小部屋から発狂して目も虚ろな社員を連れ立ってフロアに戻ってくる。

一同二人を一瞥するが誰も声を書けられないでいる。もしかしたらこの時既に全員が狂っていたのかもしれない。

フロアを大きく右から左へと一瞥したFはフロア中に聞こえる声で声をあげる。
「こんな異常な状況ってありますか!?社員一人発狂する状態なのに社長はまだ僕たちにやりきれ!お前たちの責任だという!!おかしいとは思いませんか!!先輩!!何か言ってください」

誰も何も言い返せない。この会社で初めて聞いたかもしれないド正論である。

1月某日 24:30

Fの提案で社内の会議室に社員全員(16名)が集合。もちろん断る者など誰もいない。

その場で発狂した1人を含む同期4名が「明日会社を辞める」と宣言。その流れでその場にいる全員が今後どうして行くのか(残るor辞める)を選択する会議に移行し、全員がそれぞれの意思や思いを口にしていく。

結果12名が退職、4名が決定を保留とした。この時robinは退職の意向を告げた。

1月某日 26:00

退職者12名、明日朝7時に会社に集合し、全員で社長を出迎えその場で退職届を提出することを決定。解散。
robinタクシーで帰社。

1月某日 27:00

虫の知らせで胸騒ぎで眠れなかったという妻に今日の事態を報告する。
黙って話を聞いていた妻にも退職を強く後押しされる。

朝までまだ仮眠を取るだけの時間はあったが神経が興奮状態を維持ていて眠ることができない。

(一斉退社か・・・こんなこと現実にあるんだな)

人ごとのように考えながらインターネットで「一斉退社」に関する記事を探しながら朝までの時間を潰す。

翌日

クーデター当日 6: 30

出社した時には既に半分くらいの人が集まっていた。

昨日発狂した社員を含む同期4名の机はすっかりきれいになっている。
どうやら一晩をここで過ごし机の整理などしていたようだ。

入社2年目の4名。そう言えばこんな会社の中でも彼らはいつも結束固く仲間を大事にしていたっけ。

今更ながら彼らの真っ当な人間性を頼もしく感じる。

クーデター当日 7:20

退職を決めた12名に残留の意思を持つ4名を加えた社員全員16名で社長を出迎える。

いつもは自分が一番乗りの会社で起きているこの異常事態にも眉ひとつ動かさず対応する社長。

「全員会議室にこい」と静かに言い放ちそのまま会議室に移動。
社員全員昨日の深夜会議が行われた会議室に集合する

クーデター当日 7:40

退職を決めた12名が一言づつ会社に対する想いの言葉を添え、退職の意思を告げて行く。

短い言葉だがどれも辛辣で救いのない言葉ばかり。
自分がもしこの会社の社長であったならば絶望的になる状況だ。

発狂した社員を含む4人の即日退社の意思は固く交渉の余地は感じられない。
4人のうちのリーダー的存在のYはこれまで会社が行ってきた労働内容が法律に抵触していることにふれ「会社都合での即時退職が受け入れられないなら法的処置をとる」と徹底抗戦を宣言した。

Yの言葉がハッタリではないことを理解した社長は、Yの意向を全て受け入れ即時退職を了承した。

退職を決めた残り8名は社長の「現在進行中の事後処理だけは手伝って欲しい」との言葉を受け「今月末まで」を条件にしばらく会社に残ることを約束する。

クーデター当日 8:30

朝礼がスタートする時間が過ぎたが誰も立ち上がらない。いつも聞こえる社長の罵声も聞こえてこない。

いつもの朝とは明らかに異なるクーデターの朝、即日退社を決行した4名が連れ立って会社を後にする。

フロアから出ていく手前で列の先頭に立つリーダー格のYが立ち止まり振り返る。
「お疲れ様でした!みなさん絶対にこれ以上無理しないでください!死なないでください!」

クーデター当日 10:00

4名が去った残りの12名と社長で今後の業務の進め方についてのミーティングが開かれる。

元々パンク状態の中で戦力の25%ダウンは致命的な状況だ。
一般的な会社であれば2年目の社員なんてペーペーかもしれないが、この会社では2年目はもうバリバリの中堅。その他社員も自分では処理しきれない業務を抱え込んでおり誰もフォローができない。

考えたところで解決する術などないことは分かり切っていた。
ただ1点、クーデター直後の社長の判断には社員全員がわずかに期待を抱いていたが、彼が選んだ決断は「事前のギブアップは絶対NG。ギリギリまで対応して納期遅れが出た時点で相手と交渉を始める」という従来と変わらないものだった。

この後に及んでもスタンスを変えようとしない社長を死んだ魚の目で見つめる社員一同。

ただ退社を決めた社員の中に反抗してまで会社を正す強い意思を持つ者などいない。
希望の見えない社長指示を受け入れ、いつもと変わらない1日がスタートした。

〜後編「崩壊編」に続く