私が過去に勤務していたJ〇(農〇協同組合)は、CMで宣伝していたり、皆さんのお近くにも店舗がある全国的な巨大組織です。
最近ではCMに女優の有村架純さんと浜辺美波さんを起用したり、アンパンマンもイメージキャラクターとして採用されていますね。
しかし、その知名度と組織の大きさの裏側はそんじょそこらのブラック企業をも越えるブラックっぷりがあります。
有名なのは「ノルマと自爆」です。
JA共済や農産物・家電といった様々なノルマを職員に課せ、達成できなければ自腹を切ってでも達成しなければならない「自爆」があります。
そんなブラック体質であるJ〇について、その内部組織についてご説明したいと思います。
なぜノルマと自爆が横行するのか、なぜそのような事態になっているにも関わらず旧態依然としているのか、それらの理由をJAという巨大組織の内部事情の面から解説していきます。
これから転職をされる方たちに知ってもらいたいのですが、巨大な組織だから安泰だ!と安易に思い込まないでほしいのです。
巨大な組織だったとしても、実際入社してみたらブラック体質だったという私のような二の舞は避けてほしいと思います。
・J〇という組織はピラミッド構造
J〇バンクとかJ〇共済とかCMで色々聞くと思うのですが、実際のJAは結構複雑な組織体制をしています。
J〇という組織はただ1つの組織ではなく、基本的に3段階に分かれています。
①(トップ組織)J〇全中・J〇全農・農〇中金・J〇共済連
②(都道府県単位)J〇都道府県中央会・J〇都道府県経済連・J〇都道府県信連など
③(各地のJ〇)J〇XX
公務員の組織体制と非常に似ています。
国・都道府県・市町村といった感じですね。
全国にまたがる大きな組織だからこそ、このように分割したほうが効率的ということなのでしょう。
そして、各段階の組織は別々の組織なので人事異動で各地のJ〇からトップ組織へ行くなんてことはありえません。
それぞれ別会社と思っていただいた方が解りやすいと思います。
あなたのお住まいの地域のJA〇〇と隣町のJA△△は、同じJ〇と名は付いていますが全くの別組織です。
J〇XXとJ〇△△はそれぞれ別の決算をしているし、職員も全く異なります。
もちろんトップ組織と都道府県単位の組織もほとんどが独立した別組織です。
J〇とあまり関わりのない方の中には、「農協って公務員じゃないの?」とか「J〇って全国的に有名な巨大企業じゃん!」と言われる方もいらっしゃいます。
J〇は全く公務員ではないし、ネームバリューはあっても最下層のJ〇XXの実態は悲惨です。
ちなみに私が過去に勤務していたのは各地のJ〇であるJ〇XXです。
つまりJ〇組織の最下層ということ。
表向きはJ〇グループという言い方で全て平等で1つの集団のように聞こえますが、ご覧の通り完全なピラミッド構造の組織なので、トップ組織の命令は絶対です。
各地のJ〇XXは、東京のトップ組織が決めた運営方針や商品に従うほかありません。
J〇のこの構造が諸悪の根源となっているのです。
・私の勤務していたJ〇XX(J〇組織の最下層)の実態
JAグループというネームバリューで入組してしまった私は、勤務していく中で徐々にその現実に気付かされていきます。
【新規採用職員時代】
私の県では、都道府県単位の組織と各地のJ〇XXの新規採用職員が一同に研修を受ける機会がありました。
同じJ〇グループ職員なのだからとみんな一体感を持って研修を受けていましたが、研修最後の確認テストの時にある現実を知らされました。
「都道府県単位の組織の新規採用職員は必ずJ〇XXの職員達より高得点をとること。なぜなら各地のJ〇を指導する立場だから負けることがあってはならない。」
社会人になりたての私にとっては衝撃でした。
やはりどうやっても絶対的な階級が決まっていて、私の勤務するJ〇XXは下部組織なんだと思い知らされたのです。
【J〇XXでの勤務時代】
実際にJ〇XXで仕事をし始めると、さらにJAという組織のひどさを実感することになります。
各支店で扱っているJ〇バンク・J〇共済などの金融商品や、フルーツジュースや家電といった商品は、各地のJ〇XXの商品であって、そうではないということでした。
簡単に言えば、トップ組織や都道府県組織の商品を委託販売しているにすぎなかったのです。
コンビニと同じように、本部の名前を借りてフランチャイズ経営しているのと似ています。
金融商品・共済商品を例に説明します。
J〇マイカーローンやJAこども共済といった商品はCMでもおなじみかと思います。
これらは、トップ組織である農林中金やJA共済連が商品開発したもので、彼らが売り上げ目標を決めるのです。
それを都道府県単位の組織に振り分け、都道府県単位の組織は各地のJ〇XXの目標額を振り分けます。
JA共済連 ➡ 都道府県のJ〇共済連 ➡ 各地のJ〇XX
こんな感じでトップダウンの有無を言わさぬ「目標」を与えられます。
もちろん、目標とは名ばかりの「ノルマ」です。
最下層のJ〇XXは上から押し付けられた目標を必死にクリアしなければなりません。
適当に対応すればいいんじゃないの?と思われますが、目標を達成しなければ補助やその他のサービスに制約がかかり経営に大きな支障がでます。
上層部の組織は下層部の組織に対して、J〇という看板と圧倒的な資金力とマンパワーで作られた商品を売る権利を与える代わりに、それを代わりに売ってこいという感じです。
しかも目標値は必達で、クリアすればご褒美が、できなければペナルティという飴とムチを使い分けています。
しかし、このような体制になってしまっては組織が組織のためだけに頑張るようになっていきます。
J〇(農〇協同組合)は農家などの組合員さんのためにある組織だったはずです。
このようなピラミッド構造によるノルマ管理体制では組合員さんの利益より組織がノルマを消化することだけに集中してしまいます。
実際に、現状の各地のJ〇XXは職員に厳しいノルマを課し、クリアできなければ自爆するという状況です。
職員も自爆したくないため、組合員さんの利益になるとは言えない商品でもお願いしたりして無理に契約してもらうことが日常茶飯事です。
夜遅くまで何十件もお宅訪問して営業したり、知人や親族に頭を下げて1件でも多くの契約を取ってくる。
できなければ上司から厳しい指導があり、人事査定と社内での立場を失います。
そうです、これがJAで有名な「ノルマと自爆」です。
JAはピラミッド構造になっていることで、組織間に上下関係ができてしまい、それによってノルマや自爆が発生するブラック企業体質となってしまったのです。
巨大な組織だから潰れる心配もないし大丈夫でしょ!と思って就職してしまうと理想と現実に悩まされることになります。
私自身がそうでしたから、胸を張って(?)言えます。
「企業選びはネームバリューだけで決めてはいけない」ということの大変参考になる事例ではないかと思っています(笑)
【J〇XX内部の組織体制】
各地にあるJ〇XXは、先ほども解説した通りJA組織の最下層に位置します。
そして、それぞれが完全に独立しているのでJAという看板を背負ってはいますが実態は中小企業と変わりのない規模です。
この小さな組織でもブラック体質はしっかりあります(笑)
まずは各地のJ〇の組合長を決める方法です。
各地のJ〇の組合長は「選挙」で決まります。
管轄地域内に数十名の理事(組合員)が存在し、その理事たちの投票によって組合長候補者を選びます。
そこでは各J〇組織の改革や、組合員の生活向上は二の次です。
各地の理事たちの利権と派閥争いによって決まるため、組合長が変わったからといって組合員や職員にとってプラスになることはほとんどありません。
稀に凄腕の組合長が現れて改革をしてくれますが、そういった方は短命です。
ほとんどの場合は、特に大きな改革をすることもなく前例踏襲で変わりなく続きます。
つまり、農協のノルマと自爆の考え方って昭和時代からほとんど変わりないんです。
令和になっているのに昭和時代の経営方針で、ノルマも景気の良かった頃の考え方のまま。
だからノルマが達成できなかった場合でも「もっと訪問して頭を下げてこい!」と繰り返すだけです。
まさにブラック企業体質ですよね。
・就職先選びはよく考えよう
J〇組織内部の体制の面から「なぜJAはブラックなのか」を見てみました。
就職する際に、ネームバリューや世間での印象だけで選んではいけないということを実体験をもとにご紹介させていただきました。
就職活動をされている方は、その企業の外側だけでなくできる限り内部の情報を集めて判断することをオススメします。
ちゃんと調べずに軽い気持ちで就職してしまった私からのアドバイスです。
第二第三の私のような人が生まれないことを遠くから祈っています・・・